インターネット回線の選択肢や、選ぶ為の判断基準はご存知でしょうか?
よくある情報サイトでは、キャッシュバックや速度が中心に比較されています。
私は通信業界に10年以上勤務し、元販売員でスタッフの研修担当もしていましたが、最適なネット選びには情報不足で、ネット契約後に後悔している人も多いのではないかと不安になります。
この記事では、私の経験から本当にあなたに合ったネットを選ぶための知識・ノウハウをお伝えします。
なるべく分かりやすく解説しますが、ネット選びの要素は多く、一度では理解できない部分もあるかと思います。
ただ、ちゃんと選びたい方にとって知って損のない内容です。ぜひ参考にしてみてください。
①ネット選びの順番
ネット選びを最大限簡単にすると、やる事は2つです。
まず、種類を選ぶ
次に会社を選ぶ
会社だけで見ると、数が多すぎて分かりにくいです。
選択肢を絞るにはまずは3つのネットの種類である
- 光回線
- ホームルーター
- モバイルルーター
の中から 自分に合ったネットを理解して選びましょう。
サービス比較
ネット種類 | 速度 | 通信制限 | 工事 | 外利用 |
---|---|---|---|---|
光回線 | ◎ | なし | 必要 | × |
ホームルーター | 〇 | なし | 不要 | × |
モバイルルーター | 〇 | あり | 不要 | 〇 |
どういう考えで選べば良いのか解説していきます。
②生活環境から考える
ネット選びで一番最初に知っておくべき事は、ネットと深い関連がある「テレビ視聴サービス」や「固定電話」に、ネットと合わせて加入すべきかの判別する必要ある という事です。
なぜネット以外も把握すべきなのか?
実例で紹介するなら、J:comからドコモ光に乗り換えた場合。
この方、家のテレビが全て映らなくなります。
このように、ネットだけで選ぶと人によっては生活環境に支障がでる場合があります。
月額にも影響します
どうせなら、なるべく安くネット使いたいと思う方が多いと思います。
ネットだけで比較すると、月額が安いのはモバイルルーターとなる事が多いです。
しかし、もし固定電話を利用している方なら話は別です。
固定回線なら電話とのセット加入が可能なため、一般的な固定電話よりも安く利用する事ができます。結果的に通信費は安くなります。
生活環境にトラブルを起こさない為に知っておきましょう。
③テレビサービスの加入判断
不要という選択肢も含め、 ネット選びは必ずテレビからです。
地デジ・BS・CSといったテレビ放送は関係ないように思われがちですが、ネットのオプションとしてテレビを受信する方法があり、人によっては 合わせて加入しないとテレビが映らなくなります
- どんなテレビ電波の受信方法があるのか?
- 自宅のテレビ電波の受信方法は何か?
これらが分からない場合は、この項目は必読です。
ちなみに必要な場合は、固定回線しかテレビサービスは提供していないので、固定回線を選びましょう。
ネット種類 | テレビサービス |
---|---|
光回線 | ● |
ホームルーター | × |
モバイルルーター | × |
テレビの加入判断要素は2つです。
どの放送を視聴したいか
住居タイプ
マンションか戸建ての住居タイプでテレビ設備に違いがあり、ここで加入すべきかの判断が変わります。
マンションの場合
地デジはマンションの設備が利用できる(無料)
マンションの場合、建物のオーナー側で「共同アンテナ」か「ケーブルテレビ設備」が設置してあります。
つまりテレビ設備を自分で契約する必要はないのでマンションで地デジだけ見れれば問題ないならテレビサービスは不要です。
ケーブルテレビ設備マンションの場合、J:COM等の地域ケーブルテレビ会社の設備となりますが、あなた個人との有料契約は必要ありません。
入居の際に有料プランに加入しないと地デジが見れないと思ってしまう方もいますが、関係ありませんので注意しましょう。
BS・CSを視聴したい場合
結論、視聴したい場合は テレビサービスもセットで検討しましょう。
たまに、BSの共同アンテナも設置されており無料でBS視聴できるマンションもありますが、基本的には視聴したい場合はテレビサービスに加入する必要があります。
戸建ての場合
戸建てはテレビ設備を自分で準備する
結論、 テレビアンテナが無いなら付けるか、ネットのオプションで視聴環境を整える必要があります。
中古物件であれば既にアンテナが設置された状態の戸建ても多いです。その設備に不満が無ければ、ネットのオプションは不要となります。
アンテナの種類に注意
アンテナには2種類あり、地デジアンテナとBS・CSアンテナがあります。
設置費用が高額なので、BS・CSアンテナは設置しない方も多いです。CS放送はアンテナ設置だけでは視聴できず、見たいチャンネルごとに月額契約も必要となります。
アンテナを設置する場合
町の電気屋さんなどで設置依頼が可能となり、設置費用は約3万~10万円と幅があります。テレビの台数によって共聴やブースター設置など変動しやすいです。
アンテナ設置のメリットは、一度付ければ地デジBSなら月額不要となり、ネット選びもテレビサービスへ検討しなくていいので選びやすくなります。
デメリットは雨風で映像が乱れやすかったり、景観やメンテナンスなどの想定が必要となる事です。
どちらを選ぶかは好みですが、アンテナが気になる方は一度見積をしてみるのがおススメです。
引込みの場合
J:comなどのケーブルテレビ会社や、NTT光系などがテレビサービスを提供しており、基本的には ネットとセットで加入するプラン設定となっています。
モバイルルーターやホームルータではテレビ設備の提供はありません。
その為、テレビ設備が必要な場合は固定回線を選びましょう。
▼主要ネット会社のテレビプラン例
会社 | テレビの内容 | 金額(税抜き) |
J:COM(お得セレクトプラン) | 地デジ+BS+CS6ch | 約6,500 |
ドコモ光 | 地デジ+BS | ¥6,545 |
ソフトバンク光 | 地デジ+BS | ¥6,545 |
au光 | 提供無し(設備) | - |
NURO光 | 提供無し(設備) | - |
WiMAX | 提供無し | - |
固定回線であっても、au光・NURO光・WiMAXなどは戸建て向けのテレビ設備は提供していないので注意 しましょう。
速いネットと地デジBSが欲しいならNTT設備のドコモ光やソフトバンク光などを選ぶ要素になります。(速度に関しては後ほど解説)
その場合は、地域ケーブルテレビで地デジだけの特別プランに加入することもできます。
ネットの乗換えを検討している場合
戸建てで、今のテレビ環境が引込みの場合
新しいネットでもテレビサービスを契約しないと、テレビが見れなくなります。例として挙げていたクレームパターンがこれで、知らずにやってしまう方も多いです。
アンテナと引込みの比較
新築など、テレビ設備が何もない場合は新たにアンテナを建てるのか、それともネットのオプションで引込みにするか迷いどころです。
地デジ | アンテナ | 引込み |
月額 | 0円 | ネット+約800円 |
初期費用 | 約3~10万 | 約3万 |
映像ノイズ | 雨風に弱い | 安定 |
景観 | アンテナ有り | アンテナ無し |
月額の安さならアンテナ、サービス内容ではネットオプションとなります
自分の納得する方を選びましょう
近くに高いビルがあるなどの理由で、アンテナを建ててもテレビが受信できない場所を、電波障害エリアといいます。この場合、ケーブルテレビ会社では通常できない、戸建で地デジのみ等のテレビ独立プランに加入できる事があります。テレビは電波障害プランで地デジのみ、ネットは自分の好きな速い所で契約が可能です。
④固定電話の加入判断
固定電話を利用するのであれば、ネットとセットにした方がコスパが良く賢いので、提供しているネット会社を選びましょう。
基本的に、NTT発番であれば番号継続は可能となります。
モバイルルーターでは提供無し
ネット種類 | 固定電話の提供 |
---|---|
光回線 | ● |
ホームルーター | SoftBankAirのみ |
モバイルルーター | × |
電話のみのサービス
モバイルルーターで固定電話を利用したい場合は、電話のみ別会社で個別契約する必要があります。
会社 | 月額料金 |
---|---|
NTT一般加入電話 | 1,870円 |
JCOMフォン | 1,463円 |
KDDIホームプラス電話 | 1,463円 |
ただ、トータル通信費で見た際に料金が高くなるので注意が必要です。
⑤速度の考え方
ネットの速さは非常に重要な要素ではありますが”速い”の定義はかなり曖昧です。
そもそも、ネットの速度は断定できないものなので、 速くなる要素を理解して、一番速くなる可能性が高いものを選ぶという考え方が正しいです。
速度相場
ネット種類 | 速度評価 | 量制限 | 安定性 |
---|---|---|---|
固定回線 | ★★★ | 〇なし | ◎ |
ホームルーター | ★★ | △一部あり | △ |
モバイルルーター | ★★ | ×あり | △ |
通信量の制限もなく、外で使う予定が無いなら固定回線がおすすめです。
総合的に見ると、固定回線の方が速くなる要素が多いです。
大切なのは安定性
光回線を物理的に引き込むのと、モバイルの電波を受信するとでは安定性に差が出やすいです。
場所によって相性はありますが、光回線が速くなる要素となります。
Wi-Fiの出力も安定性に関わる
Wi-Fiが安定しているかで体感速度が大きく変わってきます。Wi-Fルーターの強さに依存し、障害物を超える力や範囲などの観点からも、固定回線がおススメです。
利用環境によってはモバイルルーターの方が速い時もありまが、基本的には固定の方が速い認識でいましょう!Twitterなどの情報もあくまで参考程度に!モバイルーターを売りたい会社が、うまい事いってるだけとかもよくあります。
速度制限も把握しておく
モバイルルーター、ホームルーターに関しては一定の通信量を超えると、ネットが遅くなる利用量制限があります。
選ぶ会社によって違いはありますが、代表的なものに3日間合計で10GB制限があります。
以下、データ消費の参考データです。
見るもの | 画質 | データ量 | 10GBの目安 |
Youtube (10分) | 超高画質 | 約 230MB | 約 44回 (約 7時間) |
高画質 | 約 120MB | 約 83回 (約13時間) | |
標準 | 約 35MB | 約 285回 (約47時間) | |
低画質 | 約 20MB | 約 500回 (約83時間) |
モバイルルーターを検討する場合は、データ量制限内に収まるかは想定必須です。
したい事に必要な速度
速いに越したことはないですが、 ネットでしたい事によって速さが必要無いという事もあります。
実際のネット利用において、10Mほどの速度が出ていればある程度の事は問題なく利用できます。実測30Mあれば高速だと言えます。
(※利用中のネット速度測定サイト https://fast.com/ja/ )
■実際の用途に必要な速度目安
最大速度10G(10,000M)のサービスが増えてきていますが、そこまでの速度は必要ない方が大多数です。
接続台数の影響
同時接続数が増えれるほど、ネット速度も必要になってきます。
1人で複数機器で利用する事も普通ですし、家族など同居している方がいるのなら、更に必要速度は上がっていきます。
外での利用が多く、1人暮らしでネット検索やYoutubeを少し見る程度ならモバイルルーターでも十分。
利用環境で自分に合ったネットを選びましょう。
⑥利用場所で考える
ネット速度は光回線に劣りますが、 モバイルルーターの最大の魅力は外でも利用ができる事です。 ネット種類 外利用 光回線 × ホームルーター △ モバイルルーター 〇
自宅ではなく、職場や学校などで利用したいのがメインであればモバイルーターの適性が高いです。
登録住所から離れすぎると、ネット速度が低下します。
⑦料金の考え方
お金について把握しておく3項目はこちら。
- 月額料金
- 初期費用
- 解約金
それぞれのポイントや考え方を解説していきます。
月額料金
お金で一番気になるのは、やはり月額料金。
ネットだけで見れば、相場は以下の通りです。
ネット種類 | マンション | 戸建て |
光回線 | 約4,500円 | 約5,500円 |
ホームルーター | 約4,500円 ~ 5,500円 | |
モバイルルーター | 約3,500円 ~ 4,500円 |
とはいえ、人によって契約内容も変わってくるため、 必ずしもモバイルルーターが安いとは言い切れません。
考え方を間違うと逆に損してしまうので、月額料金の注意点を知っておきましょう。
月額も通信費全体で見る
固定電話やテレビサービスを、ネットと別々で契約してしまうと月額に大きく違いがでます。
利用する場合は、セット契約できないかを確認するようにしましょう。
スマホセット割
なるべくお得に使いたいなら、 スマホのセット割はうまく利用して得をしましょう。
スマホのプランや台数によって割引額は変動するので、人によってお得度は違います。
自分の場合はいくら割引が入るのかを把握しておきましょう。
ネットだけで適応できるのはドコモだけ
ドコモ光以外は、 ネットと固定電話の2サービス利用が適応条件 となります。
利用が無くても契約だけ固定電話を契約する形をとれば適応できますが、その分実質のお得分が減ります。
スマホに-1000円割引するために500円追加してるから、実質は-500割引という事になります。
キャンペーン価格に注意
月額料金の表記は、キャンペーンを含んだ料金で、永遠に続く値段ではない事は多々あります。
必ず2か月後、1年後、2年後先の料金内訳を確認して通常料金とキャンペーン割引の条件を確認 するようにしましょう。
初期費用
以下が、確認しておべき初期費用の項目です。
- 事務手数料
- 工事費
- ルーター本体代
キャンペーンなどで無料になる部分などもありますが、事前に確認しておきましょう。
工事費は光回線のみ
新たに光回線を引き込む場合は、1万~3万ほど工事費が必要となります。
利用中のネット回線や、キャンペーンによっては無料になる場合もあるので、必ず確認しておきましょう。
支払方法に注意
初期費用が高額な場合、分割にして月額料金に含めて支払う事があります。
分割にすると、初期費用を払っていない感覚になりがちですが、何に総額いくらお金を払っているのか把握しておきましょう。
辞める時のお金も把握しておく
もし解約したらいくら必要なのかは 加入時に必ず確認しておきましょう。
あとから聞いてなかった。は聞いていない方が悪いなるので要注意です。
契約のルールを把握
2年ごとに更新月というものがあり、更新月以外の解約では解約金が発生する自動更新という契約ルールが一般的です。
会社によって3年や5年と年数に違いはあるので契約時に確認しておきましょう。
本体代や工事費の残債
初期費用の項目でも触れましたが、工事費などを分割にした場合は、払い終えていない分の料金は解約時に請求されます。辞めたいときに公開しないように加入時に納得してから契約しましょう。
⑧利用までの流れ
受付から利用できるまでの流れは知っておきましょう。
使える様になる日程に関してはトラブルになるケースも多いので要確認です。
スケジュール
モバイル系と固定回線では、利用できるまでの期間に差があります。
モバイルルーター・ホームルーターの開通は最短即日となります。
一方、光回線は2週間ほどで、基本的には受付から1ヶ月程度の期間が必要となります。3月などの繁忙期は2ヶ月以上先になる事もあります。
工事ができない事も珍しくない
光回線の場合、工事当日に現場に行ってみないと利用できるかどうかは確定できません。建物の構造や、電柱からの距離など回線が引き込めない事は普通にあります。
受付できた=使える確定とは考えないようにしましょう。工事できないかもしれない可能性は理解しておくべきです。
急がないならいいですが、回線が引けないとなってから、別で申込みし直してまた1ヵ月待ちは防げます。
開通後の作業
ネットの初期設定など、利用すためにする事があります。 何をするのか加入前に簡単に知っておきましょう。
設定と聞くだけで拒絶反応を示す人もいますが、実はそんなに難しくなく簡単です。
Wi-Fiの設定
他人が勝手に自分のWi-Fiを使われないように、最初だけ使いたいスマホやパソコンで無線ルーターのSSIDを選択して、暗号キーを入力する必要があります。
インターネット初期設定
ちゃんとお金を払ってネットを契約してますよ、使う権利がありますよと認証する作業が初回のみ必要です。
固定回線では必要になりますが、最近では無線ルーターを差すだけで自動認証も増えてきました。対応していないネットは接続IDとパスワードの入力が初回のみ必要となります。
旧インターネットの解約
ネットの乗換えの場合、新たなネット回線が問題なく利用できるようになったら、回線の解約を行いましょう。解約忘れで使ってもないのにお金を払い続けている方も良く見るので必ず行いましょう。
キャンペーンの受取り
開通後に申請しないともらえないキャンペーン等があります。ネットが使える様になって満足感が高くなって忘れる方が多いですが、受け取りたいなら必ず実行しましょう。
まとめと利用例
ネット選びに必要な考え方をお伝えしてきましたが、自分に合ったネットの種類は分かってきたでしょうか?
- 光回線
- ホームルーター
- モバイルルーター
それぞれの利用シーン例を、以下で最後にまとめています。
光回線を選ぶパターン
家族利用なら光回線
家族でネットを利用するなら、通信量、安定性を考えると光回線がおススメです。
オンラインゲーマー
オンライン対戦ゲームなどを利用する方は、ネット速度は超重要です。
特にPC・PS5・任天堂Switchなどのオンラインゲーム利用は光回線一択でしょう。
戸建てならテレビ設備と一緒に
戸建てでアンテナが無い場合は光回線と一緒に加入しましょう。
新築戸建の方などは、必ず検討したい項目です。
光回線の選び方関連記事
自分に合った光回線を選ぶまとめ記事です。ぜひご覧ください。
ホームルーターを選ぶパターン
- どうしても工事がしたくない
- 光回線が未導入で利用できない
- 引越しが多い
- モバイルルーターよりは安定させたい
こんな場合は、ホームルーター利用が適切でしょう。
モバイルルーターを選ぶパターン
- 外でも利用できる
モバイルルーター魅力はとにかくこれです。検索やネット動画が見れれば問題ないという方なら一番手軽で分かりやすい選択肢です。
家では光回線、外でモバイルルーター
モバイルルーター利用者は光回線との併用する方も多いです。
そもそもの利用用途が違うので、全てをモバイルルーターで解決しようとはしない方が良いかもしれません。
1人暮らしのライトユーザー
学生さんや社会人の一人暮らしであれば、スマホとノートパソコンに少しつなぐ程度という方も。
オンラインビデオ授業など、映像系の利用が多いのであれば光回線がおススメですが、そこまで速度が必要無いなら手軽なモバイルルーターが使いやすいです。
車内Wi-Fi
スマホやタブレットをカーナビに利用したり、Youtubeで音楽を流しっぱなしにする方もいると思います。
車内用のWi-Fiとしてはモバイルールーターは最適です。